2018年1月23日付け日本経済新聞のマーケット商品面に「木材輸出 40年ぶり高水準 アジア需要取り込む」という記事が掲載されていました。
この記事によると、2017年の日本産木材の輸出額が40年ぶりの高水準となり、中国を中心とするアジア向けの需要が増えているそうです。
日本の林業は30年以上の長きに渡り衰退を続けていましたが、ここ最近は日本からの木材輸出が伸びており、日本国内の木材価格もじわじわと上昇しています。これは国内林業復活の兆しかもしれません。
該当の記事は以下のリンクからご覧いただけます。
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参考記事 木材輸出、40年ぶり高水準 320億円前後、アジア需要取り込む 16年から3割以上伸び
日本産木材の輸出額が40年ぶりの高水準に
日本の林業は、以前から安い輸入木材の影響で衰退を続けていましたが、ようやく長いトンネルから抜け出しつつあるようで、日本国内の木材生産額の1割相当が輸出されるようになりました。今までの常識では考えられないですよね。
※ 平成28年度 森林・林業白書より 資料:財務省「貿易統計」
上記のグラフ「我が国の木材輸出額の推移」を見ると、2013年から木材輸出が急激に伸びています。丸太や合板の伸びに目が行きますが、今までの常識からすると、これらは輸入したほうが安いものの筆頭だったはずです。
木材の輸出が伸びている理由は、木材価格が世界的に高騰する中で、日本の木材が割安になったことが挙げられます。記事によると、梱包資材向けなどで激しく競合するニュージーランド材に比べ、数%安いとのこと。
また、米国の需要拡大や環境規制が強化されたため、北米材や南洋材を中心とした外材は値段が上がる一方で、国産材は需給バランスが変わらず、相対的に安くなったことも要因です。
中国で構造材として利用可能に
同じ日の日経新聞「マーケット商品」面には、「国産のスギなど 中国で構造材利用可能に」という記事も掲載されていました。
参考記事 中国で構造材利用可能に 国産のスギなど 高付加価値品の供給カギ
記事によると、8月から日本のスギ・ヒノキ・カラマツが中国の住宅で使えるようになるとともに、中国の建築法規が改正され、日本の住宅工法である「木造軸組工法」も認められたとのことです。
さらに、1月11日には「奈良産スギ丸太 中国に 住友林業が初輸出 林道整備で生産増」という記事も掲載され、住友林業が2017年11月に奈良県十津川産のスギ丸太を和歌山県新宮港で船積みし、中国に向けて初輸出したことが紹介されていました。
日本の木材は中国向けだけでなく、台湾や韓国向けの輸出も伸びているそうです。
外材から国産材に切り替えの動き
米国産丸太の価格は20年ぶりの高値水準にあり、東南アジア諸国を産地とする南洋材丸太や合板の価格も、環境対策の強化に伴う伐採規制のため高値圏で推移しています。
このため、建材や資材などに用いる木材を、輸入材から国産材に切り替える動きが広まっています。
また、国内では木質バイオマスの発電用や熱利用向け活用が進んでおり、木材チップや木質ペレットの形でエネルギーとして利用され、その量は年々増加しています。
※ 平成28年度 森林・林業白書より 資料:「平成27年 木質バイオマスエネルギー利用動向調査」等各種統計
これらの記事や統計を見る限り、国産材は外需、内需ともに伸びており、国内林業に少しずつ復活の兆しが見られるように感じます。