森林浴 国も提唱する自然セラピー

森林浴

「森林浴」という言葉は誰もが一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか?

山、森林、自然のなかで心地よいひと時を過ごす・・・木々の間から木漏れ日を受けながらリラックスするといったイメージが浸透しているように思います。

そんな「森林浴」ですが、実は日本では1982年(昭和57年)に当時の林野庁によって「森林浴構想」が提唱されことが始まりとされています。

2004年以降は林野庁、厚生労働省、各医療研究機関や大学、企業などが研究を進め、2007年の第77回日本衛生学会総会において「森林医学研究会」が発足され、現在まで森林浴に関する様々な研究が行われています。

森林医学研究会の概要

森林医学研究会は、森林浴・森林セラピー研究を推進し、森林医学の進歩をはかることを目的とし、林野庁、森林総合研究所、森林セラピー研究会及び他の関連学会と連携して森林医学に関する研究、資料収集、編纂および教育研修などを行う。

また本研究会は、森林浴・森林セラピーに興味を持っている企業・大学・自治体等、各分野の方々に森林浴・森林セラピーを議論するプラットホームを提供し、森林浴・森林セラピーを国民に広く宣伝することによって、日本の森林資源を有効に国民の健康維持・増進やリハビリテーションに活用させる狙いもある。

このように自然資源をセラピーに活用していくことは、ストレスを抱える多くの人たちへの癒しにもつながる可能性がある。
(日本衛生学会 森林医学研究会規則を参照)

森林浴の効能と森林セラピー基地

森林浴でリラックス

「森林浴」は森林から放出されるフィトンチッドにより、メンタル面でのリラックス効果のほか、免疫力アップ、抗ガン作用も期待されています。

下記の論文によると、森林浴によって抗ガン作用に有効な細胞の働きとして近年注目されている「ナチュラルキラー細胞」の活性化が実証されているそうです。

参考記事 森林浴の効果(.pdf) アンチ・エイジング医学-日本抗加齢医学会雑誌より

他にも、森林浴によるうつ状態の改善や、ストレスホルモンへの影響も実証されています。

また日本各地には「森林セラピー基地」として、リラックス効果が森林医学の面から専門家に実証され、さらに、関連施設などの自然・社会条件が一定の水準で整備されている地域が存在します。

これは2005年に林野庁が発表した森林セラピー基地構想に基づき2006年から具体化されたもので、実施団体として特定非営利活動法人 森林セラピーソサエティが設立され、同会の基準を満たした森林は「森林セラピー基地」としての認定を受けることができるのです。

参考サイト 特定非営利活動法人森林セラピーソサエティ

この「森林セラピー基地」は各都道府県の地域観光資源としての活用も期待されています。

ちなみに国内初の正式な自然休養林としては長野県上松町にある赤沢自然休養林(国有林)が第1期「森林セラピー基地」として認定されています。

森林は木材の確保だけでなく、人間の健康促進にも関わる、まさに奥深い領域と言えるのではないでしょうか。